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和泉村   越前若狭ふるさとリポート  
  和泉村 静かに息づく歴史を訪ねて 和泉村
  歴史の里〜太古から現代の泉村〜  
 
歴史の背景
 和泉村は福井県の東端に位置し、西は大野市、北東から南にかけては岐阜県に接する県境の村です。村のほぼ中央を九頭竜川(くずりゅうがわ)が貫流しており、豊かできれいな水に恵まれています。九頭竜川を堰き止めた日本有数の規模を誇る九頭竜ダムをはじめ大小6つのダムが人造湖を形成し、日本百名山の1つである荒島岳(あらしまだけ)をはじめとする1千メートル級の山々が峰を並べており、山と湖に囲まれた美しい村です。
和泉村で発見された世界最古級・ティラノサウルスの歯の化石
和泉村で発見された
世界最古級
ティラノサウルスの
歯の化石
 村の歴史は古く、数億年前の古生代の地層からはサンゴや三葉虫、アンモナイトなどの化石が数多く産出され、近年では世界最古級のティラノサウルスの歯や日本最古の鳥の足跡化石など、「化石の宝庫」として化石地質の研究が盛んに行われてきました。また、人の暮らしでは、村内の山腹より縄文土器が数多く発見され、その頃から九頭竜川の源で古代の暮らしが営まれていたことが明らかにされています。
 
和泉村に伝わる「義平伝説」
義平とおみつの像
義平とおみつの像
(背景は「笛資料館」)

 今から約800年前、平治の乱に敗れた源義平は、穴馬(現在の和泉村)に落ち延びてきました。義平は源義朝の嫡子(長男)で、頼朝・義経の兄にあたり、「悪源太義平」(「悪」は強く勇敢なこと、「源太」は源氏の嫡男を意味します)と呼ばれ、勇猛果敢な人物とされています。
  義平はこの穴馬の里で村長(むらおさ)であった朝日助左エ門にかくまわれました。助左エ門にはおみつという名の美しい娘がおり、父の命で義平の世話をするうちに、義平との間に恋が芽生えましたが、やがて義平は父の訃報を受け、父の敵を討つために京へ上る決心をします。その時おみつは義平の子を身ごもっており、義平は産まれてくる子どものためにと自分の身につけていた太刀と白旗、そして1本の青葉の笛をおみつに授け、子どもが男なら太刀と白旗を持ち父の意志をついでほしい、女なら笛を吹き、この里で母娘静かに父を偲んでほしいと告げてこの地を離れていきました。その後、義平は京で奮戦するものの敵の手に落ち、処刑されてしまいます。女の子を産んだおみつは尼となり、生涯笛を吹きながら義平を弔ったといわれています。
  「青葉の笛」とは、平安時代中期以降に鹿児島県の台明寺にあった、宮中に献上する笛のための竹やぶの竹から作られたものを指し、現在、和泉村の朝日家に家宝として大切に保存されている義平の笛のほか、全国でも数箇所存在が確認されています。

 
歴史と文化のむらづくりに向けて
穴馬民俗資料館
古い民家を移築した
「穴馬民俗資料館」
 本村の青葉の笛にまつわる義平伝説は、村民の中でも民謡などに長く語り継がれており、現在も村に残る青葉の笛の存在とともに村民にとってはきわめてなじみの深いものでしたが、当時は村外にほとんど知られていませんでした。
  このため、新たに青葉の笛資料館の整備を行うことにより、村の歴史に対する認識を新たにして、村民の精神的な拠り所であり、文化的価値のきわめて高い青葉の笛を現代に活かすことを考えました。
  また、村の貴重な財産であり文化資料でもある化石や縄文土器類、和泉村の植物標本などを展示し、太古から現代までの和泉村がたのしく学習できる郷土資料館や、約300年前に建てられた妻入り口造りの民家に当時の生活様式を伝える民具を展示した穴馬民俗館、屋外に展示されている86型蒸気機関車など、既存の施設とあわせ、一帯を歴史の里として整備することで歴史と文化のむらづくりを進めました。
 
歴史の里整備事業

 

笛資料館の世界の笛紹介コーナー
笛資料館の
世界の笛紹介コーナー

 歴史の里の整備にあたり、まず課題となったのが現存する青葉の笛の保存とレプリカ、復刻版の作成でした。現存する青葉の笛は笛研究家の美濃晋平氏の鑑定により「日本最古の青葉の笛」とお墨付きをいただきましたが、長い年月の中で笛の先端が欠け、7つある指穴のうち3つが無くなるなど痛みが激しく、また現物を容易に持ち出せないためその形状はあまり知られていませんでした。幸いにも笛師の田中敏長氏より復元の申し出があり、数ヶ月をかけて青葉の笛と材質の近い竹を利用して作成、漆を塗って仕上げ、最後には先端部分を切って現物同様欠けた状態に整えられました。完成したレプリカは青葉の笛を守り続ける象徴として、歴史の里の整備にあたり1番最初に完成した笛の奉納殿に納められています。

緑がいっぱいの散策道
緑がいっぱいの散策道

  次に、奉納殿の横に青葉の笛資料館が建設されました。この中には青葉の笛と全国各種の笛の2つのコーナーを設け、全国各地に残る青葉の笛の関連文献や写真、レプリカを始め、石笛や草笛などを含めた全国数々の笛などの資料を収集し展示してあります。また、笛資料館と郷土資料館までの道を整備し、笛の材料となる竹を植え、自然を楽しむことのできる散策道としました。

 
歴史の里のこれから

 青葉の笛資料館では、休館日を除く毎日横笛教室を開催するほか、毎月第1日曜日には青葉の笛を復元された笛師の田中敏長氏による笛作り教室を開催しています。また、定期的にフォーラムや笛のイベントを開催し、村内の横笛愛好者を中心にふるさとの歴史の音色に親しんでいます。イベントなどには村内のほか、県外から再訪される方も増え、和泉村の歴史の里としての評判が広がっています。
  この取り組みが長く続き、和泉村の歴史が永く語り継がれることを期待したいと思います。

歴史の里位置図