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| 「北前船の歴史むら」づくり事業 |
北前船主の館 右近家の全景 |
右近家と北前船
江戸中期から明治前期にかけて、大坂〜蝦夷地(北海道)を結んで日本海廻りで、各地で商い(買積)をしながら不定期に往復した廻船を北前船と呼びました。右近家は北前船主として、天明・寛政(江戸時代)の頃から活躍し、全盛期には、八幡丸ほか30余隻を所有しました。以後、北前船の衰退とともに、蒸気船を導入し海運の近代化を進めると共に、海上保険業に進出、事業の転換を計り日本火災海上保険株式会社として現在に至っています。
現在の邸宅は、天保時代の構えを基本に明治34年に建て替えられました。上方風切妻造瓦葺二階建で、内倉、浜倉を配し、材料は北前船が産地から運んだという豪勢な構えで、その中に上方文化を取り入れ繊細な造作を見ることができます。背後の山腹は庭園となっており西洋館と亭(展望台)が建てられていて本邸から歩道で結ばれ、すばらしい日本海を眺めることができます。
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河野地域では、この地域に残された歴史遺産を保存活用して村の活性化を図っていきたいという構想のもとに、昭和62年に「北前船の歴史むら」づくり事業を始めました。幸いに、船主である右近家や中村家の豪華な建物や、それに関連する街並みは昔のままの姿で残っていて往時の風情を醸し出していることから、右近家(東京在住)の邸宅と屋敷を村で借用管理させてもらい、平成2年に北前船の資料館「北前船主の館・右近家」として、建物と山腹の庭園ならびに右近家廻船関係資料の展示を目的にオープンしました。それ以来、この館を「北前船歴史むら」づくりの核として事業の推進を図り、観光面からの活性化を進めてきました。 |
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| 北前船の学習と研究を中心としたソフト面の充実 |
| そのような施設面で整備を進める一方で、河野地域では文化面からも北前船関係資料の集積保存と、北前船の学習と研究に力を入れたソフト面での活動を展開してきました。その一つが、「西廻り」航路フォーラムです。平成3年から1年おきに1泊2日の日程で行われ、平成12年5月には第5回目のフォーラムを開催しました。初回から回を重ねるごとに内容も充実し、北海道から九州に至る広範囲にわたり研究者の皆さんの出席をいただき研究発表と討論が行われてきました。その経過と内容は次のとおりです。 |
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| 「西廻り」航路フォーラムの
歩 み |
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第1回「西廻り」航路フォーラム
平成3年10月12日(土)〜13日(日) 71名
・講演「北前船と弁才船」
【安藤裕之・東京大学教授】
・講演「北前船から見た若越と加賀」
【牧野隆信・加賀市文化財保護審議会長】
・特別展「山丹交易」北のシルクロードより河野浦へ |
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第2回「西廻り」航路フォーラム
平成5年10月16日(土)〜17日(日) 68名
・講演「北前船と尾州廻船」
【斉藤善之・
日本福祉大学知多半島総合研究員】
・講演「北前船と北国の文化」
【青木美智男・日本福祉大学教授】
・特別展「右近家 海運業の近代化」 |
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第3回「西廻り」航路フォーラム
平成7年8月26日(土)〜27日(日) 150名
・記念講演「中近世日本海海運の構造と地域市場」
【永原慶二・一橋大学名誉教授】
・特別講演「李朝後期(18〜19世紀)における
朝鮮沿岸海運の展開」
【崔完基・梨花大学(韓国)教授】
・シンポジウム「前近代社会の海運と市場
〜海をめぐる歴史像の再検討〜」
※今回のフォーラムは右近家文書の世界から情報を発信して、全国的な視野から問題を追及することを意識的に試みました。 |
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第5回フォーラムの様子 |
第4回「西廻り」航路フォーラム
平成9年8月30日(土)〜31日(日) 124名
・講演「船箪笥から見た北前船の世界」
【小泉和子・生活史研究所主宰】
・講演「海の博物館から見た北前船主の館・右近家」
【石原義剛・海の博物館長】
・シンポジウム「北前船をめぐる歴史像の再検討」
※今回は、北前船主右近権左衛門文書目録が刊行され1万8千点余の全容が明らかになりましたので、これらの成果を踏まえて、これまでの北前船のイメージを見直し、新しい北前船の歴史像を大胆に提起しました。 |
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第5回「西廻り」航路フォーラム
平成12年5月13日(土)〜14日(日) 131名
・講演「北前船商人の経営戦略」
【中西聡・名古屋大学助教授】
・講演「大坂から見た北前船と北国市場」
【斉藤善之・東北学院大学助教授】
・総括「新しい北前船の歴史像を求めて」
【青木美智男・専修大学教授】
・特別展「河野・今泉浦は小敦賀でござる」
※今回は、越前・加賀・越後の廻船について各地域から見た北前船商法に視点をあてて議論しました。 |
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| 課題と問題点 |
このように、5回にわたってフォーラムを開催し、研究者と地区民との交流も行われていますが、まだまだ地区民に密着したフォーラムとはなっていないのが現状です。
研究者と地区民との交流を深めるために、地区の中でも専門的な知識をもった人材育成のための学習会(河野座)を開催していますが、参加者も限られており、今後地区民の知識の向上を幅広く図っていく必要があります。
また、今後は情報化社会に対応したホームページの作成など、南越前町から全国に向けて北前船の情報発信を充実させる必要があるとともに、北前船に関係のある地域とのネットワークづくりに取り組むことが必要であると考えています。 |
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| おわりに |
「西廻り」航路フォーラムを始めてから、早くも13年の歳月が過ぎたわけですが、その間に、右近家文書1万8千点余が解読されて、第3回以降は、北前船主右近権左衛門家文書の世界から、そのタイムカプセルをひも解き、日本海海運の全体像を解明するよう意識的に試みてきました。
今後は全国的な視点で問題点を掘り下げ、北前船の果たしてきた日本経済への貢献を更に追及していくことで、北前船情報発信の「母港」としての役目を果たしていきたいと考えています。
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■北前船関係図書内訳
| 書籍名 |
著者名 |
発行元 |
販売価格 |
| 北前船主の館総合案内 |
福井県河野村 |
河野村 |
1,500円 |
| 海への祈り |
〃 |
〃 |
2,000円 |
第1回
「西廻り」航路フォーラム報告書 |
〃 |
〃 |
1,000円 |
第2回
「西廻り」航路フォーラム報告書 |
〃 |
〃 |
1,000円 |
第3回
「西廻り」航路フォーラム報告書
「北前船と日本海の時代」 |
日本福祉大学
知多半島
総合研究所 |
〃 |
2,625円 |
第4回
「西廻り」航路フォーラム報告書
「北前船から見た河野浦と敦賀湊」 |
福井県河野村 |
〃 |
2,520円 |
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